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the Sun#2 清水ありささん(Sycamoreシカモアデザイナー) 

執筆者の写真: Kie Kie

更新日:2020年2月8日

2人目の the Sun(太陽のように輝く女性)は、清水ありささん。


いつも穏やかで、皆に愛されている天然キャラ。

たまに、周りの冗談を間に受けて、ちょっと戸惑っていることも。

そんな様子も微笑ましいんです。

どんなときも謙虚で、等身大で飾らないお人柄。話すほどに心惹かれる女性です。

ありささんは、東京都小金井市在住で、8歳、4歳の可愛い姉妹のママです。

武蔵野美術大学を卒業後、自分を探す旅を経て、現在は、フリーランスのデザイナーとして自宅でCGデザインの仕事をしています。

旦那さんは仕事がとても忙しく、平日は帰宅できればまだいいほう。帰宅できても、深夜になることが多いそうです。

このため、ありささんは、家事も子育ても、ほとんど一人でやっています。


子供たちへの愛が詰まったSycamore(シカモア)

ありささんが、いつも目を輝かせて話してくれるのは、自分で作った子供服のこと。


「Sycamore(シカモア)」というブランド名で、年に2回、東京都国立市のショップ「ラマパコス」にて、その時限りの展示販売をしています。

シカモアの子供服は、クラシックで、どこか懐かしさがあって。

それなのに、今っぽい感じがする。

シンプルなのに、どこにもない。

まさに、唯一無二。

そして、1度見たら虜になる。


私は、シカモアの新作を見るたびに、いつもそう感じます。

結婚式やパーティーにも着て行けるようなきちんとしたデザインなのに、子供にとっての動きやすさは抜群。

パーティーで子供がウズウズしていたら、パーティー後、そのまま近くの公園に直行して走り回ってもOKなくらい、着心地も動きやすさもしっかり考えてデザインされています。

私も、結婚式に参列する際、子供達に三度ほどシカモアを着せましたが、窮屈さがないから子供たちも喜んで着てくれて、ずっと機嫌よく過ごしていました。

子供はすぐに大きくなってしまうけど、お気に入りの1着は、出来るだけ長く着せたいのが親心。

でも、成長が早い子は、1シーズンしか着られなかったりしますよね。


お母さん、安心してください。大丈夫ですから!(あれ、古い?笑)

ありささんは、そこもしっかり考えてくれています。


シカモアの服は、出来るだけ長く着られるようにデザインされていて、ベビー服は、オムツ替えのしやすさなどもしっかり考慮されています。

そして、必ずポケットが付いているのは、子供たちはポケットが大好き♡なことをありささんが良く知っているから。

24時間わが子と向き合い、子供たちがどんなことを喜ぶのかということを、ずっと側で見てきたありささんだからこその視点です。

しかも、シカモアを着せると我が子がさらに可愛く見えるので、子供の言動にイライラしても、こちらの気持ちがつい緩んでしまう。

怒っていた気持ちはどこへやら~

子供が真っ赤な顔でキーキー怒っていても、「はぁ~可愛いわぁ♡」と思わず思ってしまうから。

親子関係をスムーズにしてくれる、そんな効果まであったりします。


シカモアを着る子供たちにとっては「着心地がいい」、着せる親たちとっても「見て嬉しい」、まさにパーフェクトな服なんです。

シカモアが大好きすぎて、つい、熱く語ってしまったのですが・・


そんな素敵なシカモアは、どんな風に生まれ、どんな苦労があったのかを、ありささんに伺いました。


Sycamore(シカモア)が生まれたきっかけ

「1人目の出産後、自宅で少しずつ作り始めたのが子供服でした。

もともと、美大で陶芸をやっていて、何かを手で作ることが大好き。

でも、子供が生まれてしばらくの間は、他のことが手につかないほど大変で、何かを作る余裕なんてなかったの。

でも、1年か2年くらいしたら、子供にも自我が出てきて、その自我の目覚めや子供の成長に追いついていくのが大変で、私、当時もほとんど一人で子供を見てたから、何だか追い込まれてるように感じてたところもあったんだと思う。

”何かを作ること”と”作ることに没頭すること”で、自分を取り戻そうとしたんだよね。

それで、当時、自然と手が伸びたのが、ミシン。子育てをしながら自然と、私が小さかった頃、お母さんが私のために作ってくれた服を着た時の嬉しさを思い出したりしてたこともあって、「この子のために、私も何か作ってあげたい」と思ったのがきっかけなんだぁ。」

「当時は、子供がまだ1人だったんだけど、一人めの子って本当に敏感で、ちょっとした音でもすぐ起きちゃうんだよね。

だから、子供が寝るたびに、起こさないよう気を付けながらそーっとそーっと布団を抜け出して隣の部屋へ。

ミシンの音で起きてしまうとそのたびに手を止めて、寝たらまた作り始める。

当時はその繰り返しで、夜中もコツコツ作っていたなぁ。

作り始めると楽しくて、没頭している自分だけの時間っていうのも嬉しくて、作ることで自分が癒されている感じだった。」とシカモアが生まれた背景を話してくれました。


点と点が繋がって、やっと見つけた自分らしさと自分の表現 Sycamore(シカモア)

カメラマンのお父さんと人形作家のお母さんの間に、次女として生まれたありささん。

お姉さんもWEBデザインの仕事をされていて、まさに芸術一家です。

小さい頃から"表現すること"が当たり前の環境で育ち、そのまま美大へ進学したそう。

大学で出会った友達は、皆それぞれ”自分の表現”を追い求める人ばかり。

アリサさんも、「自分らしい表現は何か?」「自分って何なのか?」をずっと模索していたと言います。


当時は陶芸を専攻していて、土と手を使って自分を表現すること、自分らしい表現を模索していたそう。

模索する過程では、海外にも何度も足を運んだそうです。

特に、インドは何度も訪れたそうです。

インドのガンジス川沿いには、昔ながらの生活が今も残っていて、生と死が日常の中に混在する環境で数か月過ごしたことで、精神的にも肉体的にもかなりのインパクトを受けた、と話してくれました。

その後、日本に帰ってきてからも、自分自身や自分らしい表現を模索する日々。

オーストラリアで4年間生活して帰国し、日本でCGデザイナーの仕事を始めました。

当時は、自分自身や自分の表現を追求することにいっぱいで、自分が結婚することも、子供を育てるということも全く想像がつかなかったそうです。


転機が訪れたのは、お姉さんの出産に立ち会った時。

「生まれてきた赤ちゃんを見た瞬間、それまで、自分の中にかかっていた霧のようなものが一気に晴れたような感じだった」と話してくれました。

”命の誕生”という、おそらくこの世界で一番素晴らしい出来事、すべての始まりの瞬間に立ち会ったこと、そして、赤ちゃんの純真で無垢な姿そのものが、それまで十年以上に渡ってストイックに自分自身を追い込んできたありささんの心とマインドを一気に変えてしまったようです。

その後、ありささん自身も妊娠・出産を経験し、命のつながりを感じる中で、「小さい頃にお母さんが自分のために作ってくれた服のことや、その服を着ていた時の純粋な喜びを思い出した」と話してくれました。

シカモアの子供服は、ありささんがお母さんからプレゼントしてもらった手作りの服とその服に込められたお母さんからの愛情、そして、ありささん自身が小さい頃に感じた純粋な喜び・嬉しさを、ありささんが”自分の手を使って”、”自分の表現”を通して、自分の子供(次の世代)に繋いでいく「愛のプレゼント」。


そして、「ありささんだからこそ出来る、ありささんならではの表現」だと思います。


日本、海外を旅しながら、色んな人との出会いや様々な経験を経て十数年かけて追い求めてきた末に、生まれ育った日本に戻り、自らの妊娠・出産という全ての原点にかえってきたこのタイミングで、ありささんが「自分だからこそ出来る、自分ならではの表現」をようやく見つけることができたのは、決して偶然ではないと思います。


そこには、ありささんが、自分自身や自分らしい表現をずっと模索し続けてきた「粘り強さ」と「行動力」があり、模索する中でのすべての「経験」と「出会い」があったからこそ、すべての点と点が繋がり、熟成され、今、このタイミングでSycamore(シカモア)という形で生まれたのでしょう。


ありささんは、「自分にしかできない事って何だろうって考えすぎて、逆に手を動かすことが出来ずにいた時期もあるんだけど、子供が生まれたらそんな難しいことを考える時間がなくて。

育児と自分のバランスを取ろうとして自然に手を動かし始めたら、小さい頃、手を動かして小さいものを作るのが好きだった感覚が蘇ったというか、出来上がった子供服は、作るのも着せるのも楽しくて、「生活に使うものを、自分の手を動かして作る」のが今の私に、すごくしっくりきた」と話してくれました。


アクシデント続きでも、めげずに成し遂げる原動力は

今回が4回めとなる、シカモアの展示会。今回は、型、色、サイズのバリエーションを合わせると、全部で60着くらい用意したそう。

デザインを考え、サイズごとの型紙を作り、それぞれのサンプルを作る。数種類の生地について、それぞれ必要な量を計算して大量に発注する。その間に職人さんを見つけて、型紙や生地などを送る、といった一連の工程を、展示会までに順調に進めていく必要があります。

これらすべての工程を、仕事の合間や夜中に子供たちが寝静まったときに、ありささんは一人で行ってきました。


前回の展示会では、納期直前で職人さんに制作を放棄されてしまったり、検品時に大量の不具合が見つかって生地を発注し直したり、職人さんをまた探して作り直さなければならなくなったりとアクシデント続きでした。

そのたびに、泣きそうなありささんを何度も見ましたが、問題の一つ一つに向き合って解決策を探し、周りを巻き込んで展示会開催を実現したアリサさんはとてもかっこよく、達成感に溢れたすがすがしい表情をしていました。

私は、「自分って一体何なんだろう?」「自分にしかできないことって何だろう?」「自分ならではの表現って、何だろう?」という、自分自身についての本質的な問いは、どんな人にも共通するもので、決してありささんのような芸術肌の人だけが抱く疑問ではないと考えています。


いろんな人と話す中で思うのは、「自分のことを知りたい」という欲求って、皆持っているんだということ。

そして、「自分のことが良く分かっていれば、人生のいろんな場面でよりよい選択が出来る」ことも、皆がなんとなく肌で感じているということ。

でもその一方で、「自分のことが良くわからない」という疑問や不安を、結構多くの人が持っていること。


そんな中ありささんは、自ら行動して、自分にずっと問い続け、諦めず、そして海外にも何度も足を運んだりしながら考え抜いてきました。

だからこそ出会えた「自分」と「自分らしい表現」。

そして、「今」というタイミングで具体化し、それが「子供服」だったということは、すべてが必然で、とても自然なことだったんだと思います。


でも、それぞれの「点」を経験しているときは、その「点」と「点」が、いつになったらつながるのか、どんな形で現れるのかが見えないから、きっととても不安だったはずです。

それでも、ありささんはあきらめなかった。


私は、そんなありささんを尊敬していて、とてもかっこいいと思います。

そして、そんなありささんが生み出したシカモアを、心から応援したいと思っています。


お話を伺って、十数年もの長い間、一人で不安な思いを抱えながら、時に遠回りしながら、自分とひたすら向き合ってきたからこそ、今見つけられたことの喜び、安堵、そして自分の中にある「自分」の居場所は何物にも代えがたく、これこそが、ちょっとやそっとのアクシデントなんて吹き飛ばしてしまうような大きな原動力になっているんだと感じました。


Sycamore(シカモア)のこれから

最後に、シカモアのこれからについて伺いました。


「これから、シカモアオリジナルの刺繍を作りたいなぁって思ってるんだぁ。

今までも、ビンテージの刺繍テープを見つけたりすると、それを生かしたデザインを考えてワンピースを作ったりしてたんだけど、ビンテージのものって見つけるのが難しいから、自分で刺繍のデザインをしてオリジナルのものを作れたらいいなぁと思って。

1点物のワンピースも、いつか作りたいんだぁ。


あと、今、お姉ちゃんにシカモアのウェブサイトを作ってもらってて、12月頃出来る予定なの。

これから、このウェブサイトでオンライン販売もしていきたいなぁって考えているところ。

より多くの人にシカモアを知ってもらえたら嬉しいなぁ。


あとは、前から、子供向けの工作教室もやりたいなぁって思ってて。いつか実現出来たらいいな。」

Sycamore(シカモア)の未来を語るありささんの表情はワクワクした気持ちに溢れていて、まさに、周りを照らす太陽のようです。


お話をきいていた私も、沢山のパワーをもらい、思わず笑顔になりました。


Sycamore(シカモア)2019年秋冬展示会は、11/22から11/30までラマパコス(東京都国立市)で開催中です。

展示会でしか買えないので、皆さん、ぜひ足を運んでくださいね!

最後にもう一度宣伝です。笑

シカモアの服って、シンプルなのに、どこにもない。

こんなにネット環境が発達して、世界中に色んなブランドが溢れてるのに、シカモアにしかないデザイン。

デザインに対する生地の感じや、その色合いも絶妙で。

まさに、唯一無二。

とにかく、シカモアの服を一度見て貰えば、この意味が伝わるはず。


2019AW展示会が始まったよ!

この機会に、ぜひ!!


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しみずありさ(Sycamoreシカモアデザイナー)

武蔵野美術大学工芸工業デザイン学科卒業

長女出産後、育児と家事と仕事の合間にコツコツと娘に着せるための服を作り始める。忙しい毎日の中にも、手を動かしものづくりする喜びを。どこかクラシックで、子供が可愛くみえて、なるべく長く着られて、自然素材で着心地がいい。そんなこども服を目指しています。

Instagram: sycamore_kidsclothes


Writer: Kie(輝く女性のインタビューSea the Sun主宰、ライター)

輝く女性から話を聴くことが大好き。彼女たちを応援したくて、繋がり合い、応援し合えるコミュニティをつくりたくて、Sea the Sunを立上げる。自らも、心と身体両方のヘルシーさ、持続可能な輝きを追求し、現在ヨガRYT200を取得中。https://kieksummer.wixsite.com/seathesun

instagram: seathesun_interview





 
 
 

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稲葉貴絵(いなばきえ) プロコーチ

CPCC® / Certified Professional Co-Active® Coach

「個人も組織も 力強く軽やかに一歩前へ」をモットーに、クライアントさんが心から望む人生、事業がご機嫌で持続可能に実現していく過程をサポートしている。国際コーチング連盟認定プログラムCTIジャパンにてCo-Active®コーチング 200時間トレーニング修了。#Attuned を用いた組織のマネージャー向けコーチングや、#カツコチ にて就活生向けのボランティアでコーチングも行っている。元・企業法務職13年半。

1985年長野生まれ・湘南在住。6歳10歳の母。好きな食べ物はパイナップルとチーズ。家族でセッションすることを夢見て、ギターを練習中。

​Email: seathesun.kie@gmail.com

© SeatheSun2019 

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